オーストリア、1969年、78分、16mm(デジタル)
監督・脚本:オノ・ヨーコ、ジョン・レノン
出演:エヴァ・マイラート、ニコラス・デイヴィッド・ノウランド
イントロダクション:関直子(東京都現代美術館主任学芸員)
1968年にオノ・ヨーコが書いたスコア『Film No.5: RAPE (or Chase)』をベースに、ロンドン市内の通りすがりの女性を事前に許可を得ずカメラチームは執拗に公園から通りへと追う。次第に不安に駆られカメラから逃れようとする彼女。カメラチームは最終的に女性のアパートまで追跡を続ける。カメラの途切れない視線による支配が「普通の」行動パターンを中断させるというウォーホルの理論が、身体的な暴力がなくともここで極端に残酷なかたちで現われる。オーストリアの放送局ORF制作によるこの映画はオノ・ヨーコとジョン・レノンも長年晒された公共の監視に対する批評であると共に、芸術とマスメディアの穏やかな共生関係への別れの歌としても捉えることができる。
戻る