ザッシャ・ヴァイドナー
美術
ザッシャ・ヴァイドナー(1974年オスナブリュック生れ~ 2015年4月没)は、ブラウンシュヴァイク芸術大学で写真、絵画、コミュニケーションデザインを学び、デルテ・アイスフェルト教授のもと、マイスターシューラー過程(注:大学課程終了後に取得できる最高の資格)を修めた。彼の作品はすでに多くの賞を受賞しているが、その中には2011年のアリソン&ペーター・クライン財団の写真芸術に対する財団賞、2010年のベルリン芸術賞などがある。彼の作品の主眼となっているのは、「ユートピアが現実を、そして現実がユートピアを演出している隠れ家の探求」である。ザッシャ・ヴァイドナーの作品は、数多くの個展やグループ展やパブリック・コレクションで見ることができる。例えば2012年、デュッセルドルフのギャレリー・コンラッズでの個展「近くに横たわる(lay down close by)」やシドニーのオーストラリア写真センター(acp)での展覧会「ベールを取って - シドニー・プロジェクト(unveiled – the Sydney project)」などが挙げられる。
ヴィラ鴨川滞在中に取り組んだ最初の作品『Der japanische Selbstmordwald Aokigahara(日本の自殺の森青木ヶ原)』は、2013年秋にハノーファーとアテネで展示され、2013年10月、ドイツ写真協会のオットー・シュタイナート賞にて2位の成績を収めている。同写真シリーズは、ベルリンのギャラリーpavlo's dog, raum für fotografieでも、2014年5月1日から6月7日まで展示された。また、同じく滞在中に撮影した写真シリーズ『Hanami』は、2014年、Entrepreneur 4.0 Awardに選ばれた。
プロジェクトの進め方について、ヴァイドナーは次のように語る。「すべてが重要だ。文化的なもの、惨事、固定観念、平凡なもの、政治的なもの。すべてが僕に影響を与えるだろう。すべてを記録に留めなければならない。これは、3ヶ月間の視覚的な地図であり、視覚的な日記だ。壁はコルクボード、記録するための板になる。留めることができないものを留めようとする本として仕上げる。『どこにも留まることはないのだ』から」と。
ザッシャ・ヴァイドナーは、2015年4月に、心筋梗塞のため40歳で死去した。