セネガルとドレスデンで行われたピナ・バウシュ作品の再演をめぐるドキュメンタリー映画
EUフィルムデーズは、欧州連合(EU)加盟国の在日大使館・文化機関がセレクトした近年の注目作品を一挙上映するユニークな映画祭です。
本年で開催されるフェスティバルのドイツ映画としてドキュメンタリー映画「ダンシング・ピナ」(2022)を上映します。
この映画は二つの公演のリハーサルを追いながら、若いダンサーたちがピナ・バウシュの伝説的なタンツテアター(Tanztheater)作品を再発見していく様子を描くものです。舞台となるのはドイツのドレスデン・ザクセン州立歌劇場での「トーリードのイフィジェニー」、そして今年の9月に東京で上演された、セネガル・ダカール近郊の漁村にあるエコール・デ・サーブルでの「春の祭典」です。どちらもヴッパタール舞踊団に所属していたダンサーたちがリハーサルの指揮をとっていますが、ピナ・バウシュ作品は動きをただ模倣すればいいものではありません。ダンサーたちには、ピナの振付を自身の身体と物語でもって新たに〈生きる〉ことが求められます。例えば映画に登場する韓国出身のイ・サンウンは高身長だったためにダンサーとして認められない時期を過ごしたことを、またナイジェリアのグロリア・ウグワレロジョ・ビアチはダンスを通してジェンダー平等を追い求めてきた過去を背負って踊るのです。
若い世代のダンサーたちによってピナ・バウシュのレガシーに新たな命が吹き込まれるさまが、迫力を伴って映し出されます。
監督:フロリアン・ハインツェン・ツィオブ
ドイツ、2022年、111分
フランス語・英語・ドイツ語/日本語字幕付
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