髪も白くなり、ただいたずらに過ぎていく日々を重ねながら、今、思い出すことがある。あのとき、私は、一本のゆるやかな曲線を描いた——。白髪の清掃婦のもとに、若かりし頃の母が現れ、子を産まず孤独に生きる娘の人生を嘆く。しかし、老女は反論し、美しき亡霊と対峙する。
映像を用いる実験的な舞台として2019年に発表された作品のリ・クリエーション。複式夢幻能の形式を模して、超絶技巧の歌唱と身体表現が掛け合わされた公演は、複数カメラで捉えられた映像として再構成されるだけでなく、AIキャプチャーまで駆使して大胆に再解釈される。ポストヒューマンとしての人間の果て。
監督・構成:七里圭 台本:新柵未成 七里圭
撮影:高橋哲也 村上拓也 CGエンジニア:早川翔人
整音:松野泉 音声リミックス:池田拓実
楽曲提供:檜垣智也 演奏:GO ARAI(violin) 檜垣智也(piano)
公演クレジット:
舞台監督:尾崎聡(ゲーテ・インスティトゥート東京)
音響プラン:稲荷森健
演出助手:高橋哲也
制作:村松里実
協力:土屋光(SCOOL)
制作協力:インディペンデントフィルム
宣伝デザイン:戸塚泰雄 nu
HP制作:植田智道
宣伝:ガブリシャス本田
主催:チャーム・ポイント
共催:ゲーテ・インスティトゥート東京
助成:芸術文化振興基金助成事業
公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京[東京芸術文化創造発信助成]
プロフィール
七里圭
映画監督。最新作は『ピアニストを待ちながら』(2024年・劇場公開中)。『のんきな姉さん』(2004)で監督デビュー。代表作は、声と気配で物語をつづる異色の映画『眠り姫』(2007/サラウンドリマスター版2016)。他に、『ホッテントットエプロン・スケッチ』(2006)、『マリッジリング』(2007)、『DUBHOUSE』(2012)、『映画としての音楽』(2014)、『サロメの娘 アナザサイドin progress』 (2016 )、『アナザサイド サロメの娘 remix』(2017)、『あなたはわたしじゃない』(2018)、『Necktie』(2019)、村上春樹ライブラリー・イメージ映像「The Strange Library」(2021)、『背 吉増剛造×空間現代』(2022)など。他ジャンルのアーチストとのコラボレーション作品も多く、「音から作る映画」プロジェクト(2014~2018)をはじめとする実験的な映画制作、映像パフォーマンスも手掛ける。
早川翔人
ヴィデオアーティスト。東京藝術大学映像研究科メディア映像専攻修了。オンスクリーンメディアとの関わり方をテーマに制作活動を行う。映像を前にする観客をその出演者として巻き込むことで、観客と映像、あるいは見知らぬ観客同士の間に何らかの不可分な関係性を築こうと試みる。近年の活動や受賞に、「ATAMI ART GRANT 2024」(2024/梅園町ビルディング/熱海)「Digital Art Festival Taipei 2021」(2021/Digital Art Center/台北)、「Cairo Video Festival」(2019/Cimatheque/カイロ)、第21回文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員会推薦作品。