„Invisible/Visible - relation and process“

- 建築の中のアート

"Invisible/Visible - relation and process" von Keiji Uematsu und Nobuko Watanabe, Foto: Goethe-Institut Villa Kamogawa "Invisible/Visible - relation and process" von Keiji Uematsu und Nobuko Watanabe, Foto: Goethe-Institut Villa Kamogawa

Kunst am Bau(建築の中のアート)は、公共建築物の建設費の一定割合をアートに充当するという考え方で、ドイツでは1950年、連邦議会がすべての連邦建設契約において、少なくとも総工費の1%を芸術作品のために使用することを決定しました。この法的規制は、国家社会主義者によって荒廃させられたドイツの文化的生活を活性化させることを目的としていました。

このKunst am Bauに着想を得て、ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川(京都)の外壁を補修するにあたり、植松奎二と渡辺信子の作品6点からなる組作品 『Invisible/Visible ー relation and process』を南側外壁に設置しました。
経年劣化により剥がれ落ちた外壁の表面に渡辺がミシンで作るジグザグな縫い目は、急いで縫い合わせた外壁の「パッチ」(継ぎはぎ)を連想させます。
植松の重力や引力への関心から生まれた明確なコンセプトのドローイングでは、隕石や浮遊する石、また石が描く円などの物質を扱いながら、それらの精神的で、目に見えない部分もモチーフとして浮かび上がらせます。

これら6つの作品が、修復された外壁の(風雨を遮る)機能を視覚化すると同時に、芸術家が住む建物の遊び心を連想させます。このヴィラ鴨川の新たな文化的プロフィールは、11月22日より一般公開されます。※作品の原画も、建物内部各所に掲示されています。合わせてご鑑賞ください。

Keiji Uematsu © Takuma Uematsu Keiji Uematsu © Takuma Uematsu

植松奎二 / ウエマツ ケイジ

1947年、神戸市生まれ。1969年神戸大学教育学部美術科卒業。同年、ギャラリー16(京都)で初個展。1974年神戸市文化奨励賞受賞。翌年、当時の西ドイツに渡る。1976年ストックホルム近代美術館(スウェーデン)にて海外で初の美術館個展開催。1988年第43回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本代表。1990年第12回神戸須磨離宮公園現代刻展大贊受賞。2013年第38回中原悌二郎賞受賞。2021年兵庫県文化賞。
石、木、布、ガラスなどを用いたインスタレーション作品のほか、彫刻、写真、映像、パフォーマンスなど、多岐に渡る活動により、植松は一貫して重力、張力、引力といった見えない力の法則から、世界の構造・存在・関係をよりあらわにしてきた。それらは人間と地球と宇宙への作家の素朴な関心から生じている。自身の身体を用いた空間の存在把握や、人と物体の関係性など、世界を知覚させる作品を数多く発表。
主な個展に、1981年PS1,ニューヨーク、1997年2006年西宮市大谷記念美術館、2003年北九州市立美術館、2021年「みえないものへ触れる方法・直感」芦屋市立美術博物館、2022年「ナンセンスな旅への招待・みることの旅」鹿児島県霧島アートの森。
グループ展に2016年「Performing for the camera」テートモダン・ロンドン、2018年「「トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために」」国立国際美術館、大阪、2024年 「Photography and Language」MoMA、ニューヨークほか多数。
現在、大阪府箕面市にスタジオを構え、国内外の美術館やギャラリー、パブリック・スペースなどで発表、国際的に活躍を続けている。
主なパブリックコレクションに、神奈川県立近代美館、国立国際美術館、兵庫県立美術館、西宮市大谷記念美術館、大阪中之島美術館、京都市京セラ美術館、ストックホルム近代美術館、ニューヨーク近代美術館、カルティエ現代美術館、ミュンヘン市立レンバッハ美術館、ピノーコレクション、Voorlinden Museumほか多数。

Nobuko Watanabe © Takuma Uematsu Nobuko Watanabe © Takuma Uematsu

渡辺信子 / ワタナベ ノブコ

1948年、東京千代田区生まれ。関西で育つ。1971年相愛女子大学音楽学部器楽学科ピアノ科卒業。幼少期より絵画教室に通い、音楽と並行して美術分野でも制作を続けて現在に至る。枠に単色、あるいはストライプ柄の綿布を張り、きわめて簡素な構造からなる作品の制作を、1997年頃より開始する。布の張力によって生み出された美しい曲面は表面の内側に入り込み、豊かな色彩の世界から作品の深い内面部へと鑑賞者を誘う。
1998年にケルン日本文化会館(ドイツ)でエルケ・ザンダと共に初の個展を開催。翌99年には信濃橋画廊5(大阪)やギャラリー・キキ・マイヤーハーン(デュッセルドルフ)などのギャラリーでも作品を発表。以来、日本、ドイツ、フランス、韓国などで多数の個展、グループ展に参加し、精力的に作品を発表している。1997年ABC美術コンクール優秀賞、1999年第10回吉原治良賞美術コンクール大賞受賞。
主なパブリック・コレクションに、芦屋市立美術博物館、西宮市大谷記念美術館、大阪府20世紀美術コレクション、ケルン日本文化会館、国際芸術センター青森、あさご芸術の森美術館、北九州市立美術館、DIC 川村記念美術館、滋賀県立美術館、兵庫県立美術館など。

展示場所

ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川
南側外壁と建物内各所

住所:京都市左京区吉田河原町19-3
606-8305 Japan

info-villa-kamogawa@goethe.de

公開時間:2024年11月22日(金)から公開。火~土曜日の10時~17時。
(日・月曜日、祝日、その他ヴィラ鴨川の閉館期間は入館できません)

Goethe-Institut Villa Kamogawa © Goethe-Institut Villa Kamogawa