ヘイトスピーチは社会の結束にとって有害であることは、ほぼ誰もが認めるところである。にもかかわらず、何がヘイトスピーチにあたるのか、表現の自由の限界はどこにあるのかについて、裁判所や新聞、ソーシャルメディア上で議論が交わされている。
研修では、まず、ヘイトスピーチのさまざまな定義を扱い、それによってどのような異なる目的が追求されるのかについてみていく。 第2部では、コーパス研究によって典型的な語形成・語形パターンを明らかにし、差別と親和性のある言語形態に対する言語意識を高める。
ヘイトスピーチの品位を下げ、排除する効果は、言語形式のみから生じるものではないため、 第3部では、ヘイトスピーチが使用される際の典型的な組み合わせや状況的な文脈にも注目し、特に第三者/聴衆の役割についても扱いたい。 最後に、ヘイトスピーチを外国語・地域研究教育のトピックとしてどのように扱うことができるか、またどのような点に留意すべきかについて、さまざまなアプローチで議論する。
講演者:ヨアヒム・シャルロート教授
早稲田大学教授、ハイデルベルク大学客員教授。
© privat
講演者略歴
講演者:ヨアヒム・シャルロート教授 早稲田大学教授、ハイデルベルク大学客員教授。 研究テーマは文化分析言語学とコーパス言語学。ドレスデン工科大学では特別研究領域「Invective」のコンセプト・グループのメンバーであり、ヘイトスピーチや新右翼の言語をテーマにした数多くのエッセイの著者であり、いくつかのアンソロジーの編集者でもある。近著に『Hässliche Wörter: Hatespeech als Prinzip der neuen Rechten』(Metzler 2021)がある。