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震災後の東北をめぐるルポルタージュ
文化の持続可能性:震災後の東北を手掛かりに考える

ウェブマガジン「持続可能性」第3部:文化の持続可能性
防潮堤越しに海を臨む(気仙沼市) | © Goethe-Institut Tokyo / Killi Killi Video

ウェブマガジン「持続可能性」を締めくくる第3部では、東北における文化の持続可能性に焦点を当てた3本のルポルタージュを制作した。大自然のもたらす脅威と隣り合わせで、しかし自然とともに生きる人々の営みはどのようなものだろうか。人々はどのようにコミュニティを維持し、文化を受け継いでいくのだろうか?

Landkarte Tohoku © Goethe-Institut Tokyo
2011年3月11日、国内観測史上最大を記録した東日本大震災は死者1万5000人以上を出し、今でも2500人以上が行方不明となっている。しかしこのような大地震と大津波は、東北地方ではおよそ40年に一度発生している。

アーティスト、アクティヴィスト、そしてキュレーターたちは、この状況といかに向き合っているのだろうか。災害に見舞われた地で、新たに生活を立て直すことは何を意味するのだろうか。私たちは、それぞれの方法でこれらの問いに取り組む3名にインタビューを行った。
 

[2022年2月25日公開]

住み続けるか、移転か。大津波の後、この問いをめぐって多くの地域で住民の間に分断が起きた。世代から世代へと引き継がれてきた地域の伝統が廃れてしまう例も相次いだ。斉藤道有東北ツリーハウスプロジェクトは、バラバラになった共同体を結びつけるためのプロジェクトだ。ツリーハウスを建てるために集まって力を合わせることよって、ハウスだけでなく共同体もが立ち直っていく。


 
[2022年3月4日公開]

美術家の青野文昭は仙台在住。道で拾ったモノを繋ぎ合わせ、他の人には「ごみ」と映るものに新たな命を吹き込む。青野のまなざしは、日常の中にある物体にのみ向いているわけではない。「なおす/修復」という言葉を手掛かりに、彼は30年前から、古いものをすぐに捨て去り、限られた天然資源を犠牲に新しいモノを産み出し続ける社会の在り方を問い質している。震災からの復興の在り方に対しても彼は懐疑的だ。今こそ、自然との持続可能な向き合い方を考えるべきときではないのか?



[2022年3月11日公開]

震災は、美術館が果たすべき役割すらも変えた。気仙沼市にあるリアス・アーク美術館館長の山内宏泰は、震災後、それまでの展示を大きく組み換え、震災の被害についての常設展を設けた。常設展では、山内が「ガレキ」ではなく「被災物」と呼ぶ数々の物体の物語が語られ、続く世代に警告を発している。山内が重視するのは集合的記憶が受け継がれていくことだ。「持続的に語り継ぐことがなぜ重要か?それは、それをしていかないと人が死んでしまうからです。」