1989年ベルリンの壁崩壊、1990年東西再統一。
置き去りにされた人達の哀しみを、スーパーマーケットの灯りが優しく包み込む。
慎ましく幸せな物語。
旧東ドイツのとある巨大スーパーで働き始めたクリスティアンは、その未知の小宇宙にそっと降り立つ - 長い通路、延々と続く商品棚、フォークリフトのシュールなメカニズム。軽い気持ちでクリスティアンの気を惹こうとするマリオンに、クリスティアンは恋をしてしまう。ところが急にマリオンは職場に来なくなり、落ち込むクリスティアンは、かつての惨めな生活に引き戻されていく・・・。
トーマス・ステューバー監督は、壁崩壊から30年、旧東ドイツの地方で単純労働者として運命を共にする人々の生活とその密接な人間関係を、これまでとは違った視座から描いた。現実、憧れ、夢などが堅実にフレーミングされた映像の中に収められ、巨大スーパーの冷たい宇宙は、魔法をかけられたような空間に変貌する。
『希望の灯り』
監督・脚本:トーマス・ステューバー、2018年、ドイツ、125分。
原作・脚本:クレメンス・マイヤー
出演:フランツ・ロゴフスキ、ザンドラ・ヒュラー、ペーター・クルト 他
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