共有地(コモンズ)の開拓という視点から演劇制作の新しい可能性を考察する「シアターコモンズ」と協力して行うイベント。そこでドイツ文化センター自体が登頂すべき対象となり、建物内のあらゆる空間を内外から、そして上から下まで、いわば新たに征服してゆく。この山々の頂は当然のことながら、さまざまに結びついた社会的文脈をメタファー的に表現したものでしかない。 その他、ここではパフォーマンスという形式によって、誰にでも開かれたデモクラティックな空間を開放することも重要だ。ちなみに、本企画のパートナーである館内のレストランが「ツークシュピッツェ(ドイツアルプス最高峰の名前)」そして「ボーデンゼー」(ドイツ最大の湖の名前)という名前だということも何やら意味深い。
シアターコモンズの劇的空間をテーマにしたイベントに参加する本企画はインタラクティブな要素が強く、参加者は自らが新たな空間を発見することが求められる。時には目がくらむほどの高みが待ち受けているかもしれない。危険は自己責任。異文化探訪はリスキーで少々の困難を伴うのだ。ただし、その中で郷土映画、ヨーデルのワークショップやホットワインといった皆さんお馴染みのいかにもドイツらしいものが来場者を暖かく迎てくれる。
この参加型かつ身体的アプローチに加え、知的な論議の場も用意している。ベルリン自由大学のフランク・シュミッツ博士はDFG(ドイツ研究振興協会)支援のプロジェクト「民主主義の領域」について報告し、建築集団ラウムラボア・ベルリンのメンバーは参加型ツアー・パフォーマンスを制作する。
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