濱口竜介
東京大学文学部卒業後、映画の助監督やTV番組のADを経て、東京藝術大学大学院映像研究科に入学。在学中は黒沢清監督らに師事し、2008年の修了制作『PASSION』がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスで高い評価を得る。酒井耕監督と共同制作した「東北記録映画3部作」と呼ばれるドキュメンタリー群(11~13)や、4時間を超える長編『親密さ』(12)などでメガホンをとる。15年に発表した監督・脚本作『ハッピーアワー』では、ロカルノ国際映画祭やナント国際映画祭など、数々の国際映画祭で主要な賞を受賞した。商業映画デビュー作品『寝ても覚めても』(18)が、カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出される。2020年のベネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を獲得した黒沢清監督の『スパイの妻』でも、野原位とともに脚本を手がけている。2021年ベルリン国際映画祭コンペティション部門で、新作映画『偶然と想像』が銀熊賞(審査員グランプリ賞)を受賞。続く第74回カンヌ国際映画祭では『ドライブ・マイ・カー』がコンペティション部門に出品され、日本映画としては初となる脚本賞ほか4つの賞を受賞した。マリアム・ザレー
1983年テヘラン生まれ。フランクフルト・アム・マインで育ち,バーベルスベルク映画大学で演劇を学ぶ。最近では,ドラマシリーズ『4 Blocks』(Marvin Kren監督,2017),映画『未来を乗り換えた男』(Transit, クリスティアン・ペッツォルト監督,2018)および多数の劇場で俳優として活躍している。また,俳優業の傍ら,作家および監督としても活動している。2017年には,劇作『Kluge Gefühle』により,ハイデルベルク演劇祭シュトゥッケマルクトで作家賞を受賞し,2018年には『4 Blocks』での演技により,グリメ賞を受賞。初監督作品である『マリアム エヴィーン刑務所に生まれて』は,2019年のベルリン国際映画祭でプレミア上映され,パースペクティヴ・ドイツ映画部門Compass-Perspektive賞を受賞した。また2020年のドイツ映画賞でドキュメンタリー部門受賞作品。ベンヤミン・ラジャイブプル
1990年ドイツ・テュービンゲン生まれ。2013年ベルリン芸術大学で演劇を学び始め、在学中からベルリンのドイツ座やフォルクスビューネ劇場、ポツダムやリューベックの劇場の舞台に立ち、映画にも出演。2017年卒業後すぐにミュンヘン・カンマーシュピーレ劇場の専属俳優に抜擢され、岡田利規作・演出『No Sex』にも出演した。2019年演劇専門誌『テアター・ホイテ』で新人賞を獲得。『未来は私たちのもの』(ファラズ・シャリアット監督、2019)では主役を演じ、他の2名の出演俳優とともにファースト・ステップス賞のうちのゲッツ・ゲオルゲ奨励賞を受賞した。ドイツ俳優賞の新人部門にもノミネートされた。2020年には映画ODYSSEE(Nikolas Darnstädt監督)やウエブシリーズ DRUCK (監督:Luzie Loose, ファラズ・シャリアット, Sophie Linnenbaum)にも出演。ドイツ映画は今、変化の過程にあります。2021年ドイツ映画祭「Horizonte」(地平線、視界)の上映作品7本のうち5本は、移民の背景を持つ監督による作品です。ここ数年は新世代の映画人が登場し、従来とは異なるドイツを物語る作品を発表しています。彼らの作品は、ドイツでの生活を自明と考えてきた人々とは異なる視点を提示し、ドイツにある多様な現実に光を当ててくれます。この光によって、これまでのドイツ映画の世界では見えなかった「色」が輝き出し、表現がより豊かになります。ドイツの現実に対する眼差しが多様化することは、ドイツ映画の充実だけでなく、私たち自身の「視界(Horizont)」を拡げ、ひいては未来の社会を共に構築するための大切な支えを作るのです。
ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021の上映作品の画像をこちらからダウンロード頂けます。
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